SHOESAHOLICの買取考
今年もあっというまに1/4が過ぎましたが靴好きの皆様はいかがお過ごしでしょうか。
丁度、年度末なので新しい職場に移ったり、部署が変わったりと環境が大きく変わる方も多いと思います。
SHOESAHOLICでは今月、おかげさまで靴の買取量がまたまた過去最高を記録しました。
古くからのお客様は良くご存知ですが1年前までは海外からの仕入れがメインだったのですが、今では仕入れの95%位が国内のお客様からお持ち込み頂く商品で、海外からの仕入れと逆転してガラリと環境が変わりました。
これは円安の影響で海外から仕入れが出来なくなったのではなくて、新規で靴を売却頂いたお客様の多くが繰り返しご売却を頂けているので、ありがたいことに買取量が激増しており、海外からの仕入れを行うとSHOESAHOLICは小規模で運営をしているのでパンクをするためです(笑)
というわけで買取をスタートしてもうすぐ1年経つので、少し買取について振り返ってみようと思いました。
ちょうど1年前の今頃、お客様でもある某社長さんに呼ばれて、飲みながら「買取はじめろ」と言われたので、次の日には行政書士の先生に連絡をして買取に必要な古物商の免許の取得をお願いしました。
最初はどうなるのかな?と不安もあったのですが、繰り返し何度も売却を頂くお客様、1度の査定額が50万円を超えるお客様、入手困難な希少な靴を任せて頂けるお客様、ウチで購入した靴をウチに売却頂き、そのお金で新しい靴をご注文頂くお客様など、ビックリする位たくさんのお客様に靴を買い取らせて頂きました。
元々、フルハンドのスーツを仕立てたりしていたので、縫ったり、切ったりは出来るのですが、「作れて、売れるテーラー」を目指していたので、販売したり、接客したりするのが好きです。
ただ、お客様の靴を買い取らせてもらうという仕事をしてみると、お客様が大切にしてきた物を買い取らせて頂くのでよりお客様の事を身近に感じる事が出来、お届けして終わりの販売よりもずっと情熱を傾けられます。
特に「靴」というアイテムは持ち主だった人の愛情がより感じられます。
なぜかなぁ〜とずっと考えていたのですが、まず一つは自分でケアを出来るからかと思いました。色々なクリームやブラシを試行錯誤したり、ヒマさえあったらブラッシングをしたり、持ち主の方が相応の手間暇や時間をかけてきたアイテムなので、お客様と対話をしているような気分になります。
また、革という素材も自分だけのエイジングが出たり、アジが出るのでその人らしい1足になっている事が多いので、よりその人らしさを感じます。
ですので、SHOESAHOLICではお客様から商品が届いた時に、
「あ〜、このスエードの靴は少し青くなってるからデニムに合わせていたんだなぁ〜」
「このお客様の靴は全てヒールが擦れていたから、踵の骨が発達するスポーツをしていたのかな??」
「このオールデンはベネチアンクリームで磨いてくれてるから査定額を少しUPしよう!!」
「このトゥのキズはエスカレーターに引っ掛けたんだろうな、ショックだろうな。。。」
「○○さんの磨きはプロ並みだなぁ〜、僕の靴も磨いてもらえないかなぁ〜。」
「きっと雨に急に降られて、目立たなくする為に試行錯誤したんだろうなぁ〜」
「コードバンの靴でこの履きシワなら、英国靴ならハーフサイズ位落とすのかな?」
「おっ、この光り方はブリフトさんの磨きだな、お世話になってるから高めに査定しよう。」
等々、お客様がどんな気持ちでこの靴を履いていたのかを想像して査定をさせて頂いています。なので、査定のご連絡までお時間が少しかかります!!(笑)
本来、大きな会社の様に○○のブランドの靴だったら「○○円〜○○円」のレンジで買取などルールを決めてしまえば効率もアップ出来るのですが、まず自分が靴を好きなのもあり、査定額は自分のやりたい放題なため、仲の良いお客様の靴は調子に乗り過ぎた査定額を付けて大赤字を出す事も多々あります、会社員ならおそらくクビですね(笑)
SHOESAHOLICは自分達が気に入っていた商品は愛着や感情移入もしているので、ぞんざいに扱われたりすると良い気分はしないと思っています。
また、売却を決めるまでは、購入するまでワクワクしたり、仕事から帰って眺めたり、休みの日に手を汚して磨いたり、ペットの犬にかじられて半べそかいたりと色々な歴史があったと思います。
そんな歴史まるごとをお任せ頂ければと思うので、いくらで売れるから買値はいくらなど統計よりも、感情むき出しで査定をした方が味気なくて、良いかなと思ってSHOESAHOLICは買取をさせて頂いています。
「僕達が買い取るのは靴ではなくて、お客様の歴史、人生を買取ます!!」
という「お客様が喜ぶ買取考」をテーラーの関係の人に向けて大演説をしたのですが、
「それはわかったけど、お前の本業テーラーじゃないの??」
と突っ込まれたので、自分の本業が何かよく分らなくなっている今日この頃です(笑)
最近では服を作るよりもお客様と商売した方が楽しいので尊敬する先輩もたくさんいるし、自分の服は自分で作るよりも羊屋の中野さんやCOLの加納さんにお願いした方が良いなぁ〜と思ってます。
SHOESAHOLICはお客様が喜ぶなら、こんな雪道でも買取に伺います!!(笑)